AERAは医師専用のコミュニティーサイトを運営するメドピアの協力のもと、現役の医師たちにアンケートを実施した。同社CEOで医師の石見陽氏が、アンケート結果への所感や医師の仕事の変化を語った。AERA 2021年1月25日号から。
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今回のアンケートでは医師たちに収束のタイミングを聞きましたが、「3年後」や「4年後以降」と、長期戦を予測している人が多いのは意外でした。コロナ禍では一部の医師や医療機関に負担が偏り、加えて全体的に医師の収入が減少している。この状況で医師たちがあと3、4年耐えられるか心配です。
コロナの最前線で働く医師たちは死の危険と隣り合わせで、戦場のようなストレスがある。ただ、医師なら誰でもコロナ対応ができるというものではなく、総出で取り組むのも難しい。
また、患者の減少は、医療機関の収益の悪化や給料減というお金の問題だけでなく、「自分の仕事は本当に必要なものなのだろうか」という、医師としてのアイデンティティーを揺さぶられる事態でもあります。これを機に働き方や今後のキャリアを見直す医師も出てくるでしょう。
近年、包括的医療を実践する総合診療医に医学部生の人気が集まっていますが、コロナを機に感染症や公衆衛生の観点から国に貢献する道を目指す医師が増えるのではないでしょうか。
これまで医師の仕事といえば、病気になった患者を診て、マイナスをゼロに戻すことでしたが、今後は病気になる前の段階でのかかわりが重視されていくと思います。日本はもともと健康診断が整っていて産業医制度もあり、予防にまじめに取り組んできた国。今後、世界に先駆けて予防医療のビジネスが生まれる可能性もあり、医師たちの新たな活躍の場が広がりそうです。
※AERA 2021年1月25日号