ハリー王子の暴露本『スペア』(REX/アフロ)
ハリー王子の暴露本『スペア』(REX/アフロ)

 王子は絶えず妻に協力してきたのに、いざ夫が本を出したときは、彼女は一切関わらず「これはハリーのプロジェクト」と突き放す。「自分が出るとスポットライトを奪ってしまうから」と遠慮しているとの見方もあるが、実際は、彼女の野心と関わりがあるとみられる。

 メーガン妃が本の内容で特に気にしているのが、タリバン兵を25人殺害したという記述と、違法ドラッグを17歳のときに試したくだりだという。これは、いざというとき“命取り”になると警戒しているのだろう。

 というのも、メーガン妃はかねて、米大統領になる夢を持っているといわれている。これまでヒラリー・クリントン氏やミシェル・オバマ氏らに接近し、親しくなってきた。昨年12月にはロバート・F・ケネディ人権財団の人権賞を受賞。バイデン大統領の妹バレリー・バイデン・オーウェンズさんからは「よい大統領候補になる」とのコメントをもらった。

 女性の人権尊重を高く掲げ、近い将来、民主党から出馬するのだろうか。だから、夢の実現の妨げになる可能性のあるものには、夫といえども近寄らないのが賢明なのかもしれない。

 一方、王子は英王室御用達の自動車、レンジローバーの新車を約2千万円で購入した。環境保護の啓発運動に熱心だったはずなのに、この車はCO2をたっぷり出すモデルで、「偽善者」と批判されている。しかもこの車は、『スペア』と昨年12月に配信されたネットフリックスのドキュメンタリー番組「ハリー&メーガン」で手にした大金で買ったと見られる。

 英王室は5月6日に開かれるチャールズ国王の戴冠式の詳細を早めに発表するなど、懸命に前に進む努力を続ける。また先日、キャサリン皇太子妃が公務で姿を見せたとき、ふとおなかに手を当てただけで「第4子懐妊か」とロイヤルベビーを期待する声があふれた。

 英国民は家庭内の過去の恨み言を聞かされるより、春に向けての明るいニュースこそ、待ち望んでいる。(ジャーナリスト・多賀幹子)

週刊朝日  2023年2月10日号

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多賀幹子

多賀幹子

お茶の水女子大学文教育学部卒業。東京都生まれ。企業広報誌の編集長を経てジャーナリストに。女性、教育、王室などをテーマに取材。執筆活動のほか、テレビ出演、講演活動などを行う。著書に『英国女王が伝授する70歳からの品格』『親たちの暴走』など

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