碇策行さん(撮影/松岡瑛理)
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碇策行さんに聞く 「受験直前期にオススメ!親の対応3カ条」 (週刊朝日2021年2月12日号より)
碇策行さんに聞く 「受験直前期にオススメ!親の対応3カ条」 (週刊朝日2021年2月12日号より)

 2月から私立大学の個別試験が本格的に始まる。国公立大も前期日程が下旬に控える。受験生を持つ親はどんなサポートをしたらいいのだろうか。一人息子が東京大学文科一類に合格した元キャバクラ店長の碇策行さん(52)と、3男1女が最難関の東大理科三類に進んだ佐藤亮子さんに聞いた。

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『田舎のキャバクラ店長が息子を東大に入れた。』(プレジデント社)の著書がある碇さんは、茨城県潮来市在住。2013年に長男が現役で東大に進んだ。受験直前期、碇さんが続けたことといえば、週1回程度のゴミ拾いと、毎週水曜に「少年サンデー」を長男のために買うことぐらい。いつもどおりに接することを心がけた。

「大丈夫なの、という声かけはしませんでした。下手な口出しをして親子間のギャップを広げないことです。○○(子どもの名)のことを思って、という言い方もしませんでした。親の望みを押し付けないことが大切です」

 碇さんは高校卒業後、就職した。数年前まで県内でキャバクラ店の店長を務め、当時の年収は約300万円。自身が9歳のころ、父親が家を出て飲み屋で知り合った女性と暮らし始め、その5年後に母親が家出した。大人への不信感に満ちた思春期を過ごしたという。

「絶対に子どもを裏切らない父親になりたい、と思いました」

 長男が私立中高一貫校への進学を希望すると、借金があった碇さんは父に頭を下げて入学金を援助してもらった。長男には「私立に行くなら、東大を目指せ」と告げた。

「東大を目指しておけば、どこかしらの国立大学には受かるだろうと」

 長男が幼いころ、クイズを出したり質問したりして考えることを習慣づけたという。その長男から中学3年生のとき、「もうわかんないっしょ」と言われ、碇さんが勉強の面倒を見ることはなくなった。長男は塾や予備校には通わず、自分で計画を立てて勉強した。

 キャバクラ店長の経験も子育てに生きたという。中学にきちんと通わなかった従業員が多かったので、定期的に計算問題のドリルを解かせたら、学習意欲が少しずつ上がった。最終的に資格を取得する人も出た。

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