並行して気を配ったのが言葉がけだ。大みそかまでは「とにかく頑張れ」と励ましていたが、元旦からは「なるようになる」と言い方を変えた。
「『試験本番はできる問題だけ必死に取り組んで、きちんと点数に結びつければそれでいい。たとえ受験に落ちたとしても、命が取られるわけではないのだから』と、子どもが冷静な気持ちになれるようなアドバイスを送っていました」
受験直前は子どもも崖っぷちの時期。理想を押し付けるのではなく、現実を踏まえた対応が親の側にも求められるという。
「たとえ共通テストの結果が思わしくなくても、『なんで点数を取れなかったの』と責めるのは子どもの傷口に塩を塗り込むだけ。点数が第1志望の大学に足りなければ、次の候補を考えるなど、道を具体化させる。『点数に寄り添う』という姿勢が大切です」
コロナ禍での受験環境に注目が集まりやすいが、佐藤さんは言う。
「1点でもいい点数を取るべく、日々勉強を重ねなければいけない。その状況は例年と変わりません。親自身が平常心を保ちつつ、『いつもどおりでいいんだよ』というメッセージを伝えることが大切だと思っています」
(本誌・松岡瑛理)
※週刊朝日 2021年2月12日号