川嶋さんが世話人を務める看護専門職有志の団体「看護未来塾」では、昨年9月、「コロナ重症患者受け入れ病院の最前線で奮闘した看護師のリアルな体験」をテーマにリモート勉強会を開いた。寄せられた体験談は驚くことばかりだった。

「レッドゾーンでは最低でも4時間以上、時には7~8時間も滞在した事例もありました。また、本来は理学療法士、作業療法士が担うリハビリなども看護師任せに。PCR検査をする外来看護師もギリギリで切り盛りしているため、交代要員がいなくて防護服を着たまま4時間以上立ちっぱなし、といった例が報告されています」(川嶋さん)

 川嶋さんは、看護師の待遇改善にも積極的に取り組んでいる。看護未来塾は昨年10月、前記の体験談なども踏まえ、集中治療室での看護師の労働条件を速やかに緩和するため、労働基準法、労働安全衛生規則などの法的整備を提言した。

「具体的には、1日の労働時間を6時間とし、1回のレッドゾーン滞在時間の上限は2時間を超えない。2時間ごとに30分間の完全休憩の保障。感染病棟内の環境整備、清掃などを専門的にする新業種を速やかに育成し、各施設のコロナICUでの業務に当たる。PCR検査施行の外来、診療所で働く看護師の労働条件緩和策の速やかな実施、などです」(同)

 1月に出された緊急事態宣言後は、感染者数は減ってきているとはいえ、入院患者がいる医療現場の状況は変わっていないという。

「昨年来、医療現場は混迷し、労働環境は悪化するばかりです。このままでは優秀な看護師が体調を崩したり働く意欲をなくしたりして、医療システム自体が壊れてしまうのではないかと、とても心配しています」

 一方、嘉門さん自身も、コロナ禍で受けた影響は大きい。

「イベントやライブコンサートが軒並みキャンセルや延期ですよ。去年の3月以降、100本ほど“飛び”ました」

 飲食店や観光業界の窮状が話題となりがちだが、エンタメ業界もキツいと嘆く。

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