

新型コロナウイルスの収束が見えないなか、ただでさえ開催に“懐疑論”が根強い東京五輪・パラリンピック大会。組織委員会のトップである、森喜朗会長から飛び出した「女性蔑視」発言で、もはや国民の理解を得ることは難しくなった。
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きっかけは、2月3日の日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会。森会長はこの場で「女性が多くいる会議は時間がかかる」「私どもの組織委の女性はみんなわきまえている」などと耳を疑う言葉を連発。「五輪憲章」はいかなる差別も認めないとされており、東京五輪が掲げる「多様性と調和」とは正反対の放言にはあきれるばかりだ。「性差別」だとして、海外メディアやアスリートなど国内外から批判の声が上がった。
森会長は翌4日に急きょ、謝罪会見を開いて発言を撤回したものの、辞任は否定。記者から「会長として不適任では?」と問われ、「あなたはどう思いますか」と逆質問ではぐらかし、「おもしろおかしくしたいから聞いているんだろ」といらだちを隠さなかった。
組織委としては早期の謝罪会見で“火消し”に走ったが、逆に、火に油を注いだだけとなったことは否めない。ツイッター上では「#わきまえない女」のハッシュタグがつくられ、森会長の発言に対して皮肉を交えて批判する投稿が相次いだ。
「それはもうひどい会見でした」と切り捨てるのは、スポーツジャーナリストの谷口源太郎さんだ。
「今回の発言の重大性をまったく自覚していません。そもそも(2000年の)『日本の国は天皇を中心とする神の国』という問題発言など、数々の失言があり“自己反省力”がないんです。五輪うんぬん以前の問題で、幼児性すら見えるトップでは世界に恥をさらすだけです」
周囲も徐々に愛想を尽かし始めている。聖火ランナーを務める予定だったお笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳さんは自身のSNSで、「どんなことがあっても五輪開催」などと語るこれまでの森発言に対し、「同意しかねる」として聖火ランナーの辞退を表明した。