「コンビニ百里の道をゆく」は、51歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
【写真】韓国、バングラデシュ、中国など、様々な国籍の社員がいます
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人生100年時代と言われ、一つの会社に勤め上げるという価値観も変わりつつあります。
私たちローソンの根っこには、ダイバーシティー&インクルージョンという考えがあります。過去10年以上、多様性を重視した採用活動を行っています。新卒採用は男女半々、ここ数年は外国籍の方の採用は15~20パーセントを目標に掲げています。
成城石井やユナイテッド・シネマなど、関連会社への出向もあり、グループ内でも成長できる環境は整っています。もちろん、海外でチャレンジしたい社員の後押しもしています。
一方、今いる組織を離れて違う価値観に触れることによる成長もあります。ローソンで働くなかで、ほかの仕事にチャレンジしてみたい気持ちが湧いたり、リカレント教育を受けたいと思ったりすることも自然なことです。
世の中のあまたある選択肢のなかから、一人ひとりが自分の価値観に沿い、人生を充実させる道を選んでもらいたい。それが、個人にとっても組織にとっても、ひいては社会にとっても良いことだと考えています。
近年、ジョブ型雇用が注目を集め、専門性の高さが見直されています。日本においては、アメリカのそれとは違った「ハイブリッド」なジョブ型としての様々な業務経験も、自身のキャリアにとって大切ではないかと思います。
新天地での活躍はもちろん、もう一度ローソンで働きたいという思いも大歓迎です。実際、戻ってきてくれた仲間もいます。外に出て俯瞰することで、これまで気づかなかったローソンの良さや「ここがもったいない」という要素も見えてきます。
「出戻り」で新たな風をローソンに吹かせるもよし、新しい場所でステップアップするもよし。自分らしく働けることが、何よりも大切です。
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
※AERA 2021年2月15日号