元フジテレビで現在はフリーアナウンサーの武田祐子さん。山形大学を卒業するまで山形県で生まれ育った生粋の山形人だ。難関の就職試験では、地方大在学が不利に働くと思っていたというが、「山形」が売りになった。
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山形市で生まれ、大学を卒業するまで山形で過ごしました。幼い頃から山形で一生涯暮らすのだろうと思っていましたね。
山形大学理学部生物学科で環境生物学を専攻。同級生と「馬見ケ崎川」で芋煮を楽しんだり蔵王にスキーに行ったりと恵まれた自然を存分に享受した学生生活でした。
アナウンサーになりたいと思ったきっかけは二つあります。一つは、大学時代に「べにばな国体」という国民体育大会でアルバイトをした時、ご一緒したテレビ局の方々が楽しそうに働いていたのを見て、テレビ業界に興味を持ったこと。
もう一つは、小6の謝恩会で司会をした時、担任の先生から「マイクのりがいい声。将来アナウンサーなんていいんじゃない」と褒められたこと。頭に残っていたのですね。
とはいえ、「山形大学の学生がキー局に受かるはずはない」と気楽な気持ちでフジテレビの面接に臨んだら、「山形出身」「理学部」の経歴が珍しがられたのか、あれよあれよと選考が進み、ついに最終役員面接。「どんなアナウンサーになりたいですか」の問いに、大学で研究していたヒメスイバという雑草の名を挙げて「雑草のように目立たないけれど頑張っている人や物事をきちんと伝えられるアナウンサーになりたい」と答えたところ、「うまくまとめたね」とその場が沸いたんです。結果、内定をいただきました。
もし大学から上京していたら、フジテレビのアナウンサーにはなっていなかったと思います。地方出身をコンプレックスに感じる人もいるかもしれませんが、一つの個性として自信をもって前向きに捉えてほしいです。(構成/本誌・松岡瑛理)
※週刊朝日 2021年2月19日号