割れた食器類の一部。グラスなどが散乱し、ふすまなども外れたという(写真提供/目黒繁明さん)
割れた食器類の一部。グラスなどが散乱し、ふすまなども外れたという(写真提供/目黒繁明さん)
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AERA2019年9月9日号から
AERA2019年9月9日号から

 突然の大きな揺れだった。

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 2月13日午後11時7分ころ、福島県沖を震源とする大きな地震があった。地震の強さを示すマグニチュード(M)は7.1、宮城県蔵王町、福島県相馬市・国見町・新地町で震度6強を記録した。震度1以上の身体に感じる揺れを観測したのは、北海道から広島まで広範囲に及ぶ。震度4を記録した東京でも、揺れが長く続いた。

 14日朝までの報道によると、東北や関東で70人以上が負傷したという。東京電力管内では一時約86万戸が停電した。SNSでは、「家のなかがめちゃくちゃになった」「水道管から水が噴き出して冠水している」などという投稿も相次いだ。

 東日本大震災の震源に近く、今回も震度6弱を記録した宮城県石巻市で「民宿めぐろ」を営む目黒繁明さん(46)は、地震発生時の様子をこう説明する。

「横揺れでジワジワ強くなる感じ。『来た』と思ってからかなり長く揺れました。久しぶりの大きな揺れです。縦揺れと横揺れが混ざって立っていられなった東日本大震災ほどではなかったけれどかなり強く、震災10年を前に改めて地震の怖さを思い出しました」

 目黒さんの民宿では従業員や宿泊客にけがはなかったというが、グラスや食器などが散乱し、ふすまなども外れたという。横揺れで引っ張られたためか、壁紙にはひびが入った。ボイラーの配管からも水が噴き出して修理が必要になりそうだ。

「食器類は量が多いから、重ねて置いていたのが災いしました。100個くらいは割れたかな。ただ、今回は津波がなかったのでまだよかった。東日本大震災のときは片付けが大変だなと思っていたところに津波が来て全部持っていかれたんです。全部経験しているから、まだ落ち着いていられます」

 気象庁は14日未明に会見を開き、今回の地震は「2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の余震と考えられる」と発表した。プレート内で地震活動が多い状態が続いているとし、引き続き注意するよう呼び掛けている。

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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