「コンビニ百里の道をゆく」は、51歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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体調が悪くて、今すぐ薬がほしい。でも、外に出る元気もない。「自宅に薬が届けばいいのに」と思ったことはありませんか。ローソンでは、一般用医薬品を自宅までお届けするサービスを東京都内3店舗で始めました。「ウーバーイーツ」のアプリで注文すると、登録販売者が確認して、配達員の方を介してお届けします。
アプリ上で店舗と購入したい一般用医薬品を選択すると、画面に注意事項や質問事項が表示されます。それに回答いただいた後、ご自宅へとお届けする仕組みです。もし、お客様からご質問がある場合は、販売店にお電話いただければ、登録販売者が答えます。
取り扱うのは、風邪薬や痛み止め、湿布薬、目薬など指定第2類、第2類、第3類医薬品の49種類。薬は登録販売者のいるリアル店舗で管理するので安心ですし、お客様はスマホ一台で注文できる。ウィズコロナの時代で、病院に行きづらい雰囲気もあります。医薬品は体調が悪いなど外出できない時のニーズが高く、自宅に居ながらにして医薬品が届くのは画期的だとご好評いただいています。今後、取扱店舗を拡大していく方針です。
通常のコンビニの商品にドラッグストアで取り扱う商品を加えた店舗を「ヘルスケアローソン」と呼んでいます。今は一部店舗のみですが、規制が緩和されれば、登録販売者が遠隔で接客するなど、デジタルの力を使って薬の取り扱いができる店舗を増やせるかもしれません。
おにぎりや厨房弁当から、トイレットペーパーなどの日用品、そして医薬品まで。暮らしに必要なものをコンパクトに集めて、ローソンでサクッと欲しいものを買えれば、近隣に住む方の生活をより便利にできると考えています。
コロナ禍であっても、お客様の生活に寄り添った存在を目指していきます。
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
※AERA 2021年2月22日号