報告しやすい雰囲気をつくることも重要(写真:jessie / PIXTA)
報告しやすい雰囲気をつくることも重要(写真:jessie / PIXTA)
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西野一輝(にしの・かずき)/経営・組織戦略コンサルタント。大学卒業後、大手出版社に入社。ビジネス関連の編集・企画に関わる。現在は独立して事務所を設立。経営者、専門家など2000名以上に取材を行ってきた経験を生かして、人材育成や組織開発の支援を行っている。
西野一輝(にしの・かずき)/経営・組織戦略コンサルタント。大学卒業後、大手出版社に入社。ビジネス関連の編集・企画に関わる。現在は独立して事務所を設立。経営者、専門家など2000名以上に取材を行ってきた経験を生かして、人材育成や組織開発の支援を行っている。

 あなたの周りにムダにやる気を下げてくる人物はいないだろうか? 経営・組織戦略コンサルタントの西野一輝氏は、こうしたやる気を下げてくる人物への対策を『モチベーション下げマンとの戦い方』(朝日新聞出版)として上梓した。今回のテーマは「部下のモチベーションを上げる誉め方」について。

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■失敗を報告したときは褒める

 仕事で失敗したとき、叱られる可能性が高いので隠したい、なるべく自分で処理して終わらせたいという意識は誰にも芽生えるものです。ただ、こうした隠蔽が会社の大きな損失になるケースがたくさんあります。ゆえに、社会人の基本としてまず失敗は早めに報告するようにと指導されます。

 しかし、失敗をした部下は恐怖にも近い感情を抱いています。失敗の報告で叱られたとすれば次回の失敗で報告が躊躇されてしまうかもしれません。

 知人が勤務している小売りチェーンは、社員の失敗を褒めるという取り組みをしています。あるとき、店舗に勤務していた社員が発注ミスで大きな損失を出したことがありました。早速失敗を上司に報告したところ、なんと上司は、「すぐに報告に来て偉いぞ」と褒めたのです。

 この会社では、過去にも同様の発注ミスが何度かありながら、担当者が上司に報告せず、取引先をごまかすような稚拙な対応をしたために、大きな問題に発展してしまうということが続きました。その原因は「上司に叱責されるのを避けたい」という気持ちから起きたからのようです。

 当然、叱られた社員はモチベーションが下がります。ならば、失敗を報告したら褒めてみたらどうかと、ある役員から提案があって試してみたところ、失敗の報告が増え、その失敗を二度としないように対策が打たれ、見事失敗は減少しました。

 それだけでなく、社員が落ち込んでモチベーションが下がることも減り、業績も上昇したようです。このように失敗というネガティブな出来事もモチベーションを上げるきっかけにすることは可能なのです。

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褒めるべきは結果ではなく