すると、見ず知らずの人たちが100人以上集まり、次々に手を挙げて自分たちが経験した怒り、悔しさを話し始めた。

「一人が話し終わると3、4人が同時に話し始めちゃうくらい、みんな同じようにモヤモヤを抱えているのを感じました。みなさんの周りの森さん的な存在に傷つけられた経験が噴出していました」(福田さん)

■会議より夜の飲み会

<職場で大事なことがいつも夜の飲み会で決まる。自分は子どもがいるから飲み会には行けないが、翌日出勤すると、前日の会議で決まったことが飲み会で覆されている>(女性)
<同じことを言っても、女性の自分が発言するとマイナスにとらえられ、男性が言うとプラスに受け止められる>(女性)
<娘がいるので、こんな社会であってほしくない>(男性)

 次々と声が上がった。福田さんは言う。

「男性も3分の1くらいいて、年齢、性別に関係なく、この発言に違和感を持っている人がたくさんいることを感じました」

 以前から知り合いだった、若者の政治参加を促す団体「NO YOUTH NO JAPAN」代表で慶應義塾大学4年の能條桃子さんもルームに参加。「Voice Up Japan」代表の山本和奈さんも交えて3人で相談し、「このままだと声が届かない。みんなの思いを可視化したい」と、署名サイト「Change.org」で「森喜朗会長の処遇の検討および再発防止を求めます」と題したキャンペーンを立ち上げた。2月4日夜から15日までに15万7425人の署名が集まったという。

※Clubhouse内の発言は、本人に許可を得たものを掲載しています

(編集部・高橋有紀、ライター・仲宇佐ゆり)

AERA 2021年3月1日号より抜粋