23日、茨城県は新型コロナウイルス感染拡大による県独自の緊急事態宣言を解除した。当初は28日までを予定していたが、前倒しした。午後8時までだった飲食店の営業時間短縮も解除されたが、突然の「解禁」に準備が間に合わず、開店できなかった店舗も多くあった。解除当日の夜、千葉県との県境にある飲み屋街を歩いてみた。

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 県が独自の緊急事態宣言の前倒しを発表したのは22日。突然の発表だった。宣言は1月18日に発出され、当初の期限は2月7日までだったが、感染拡大が止まらないことから、今月28日までに延長されていた。だが、新規陽性者と病床稼働数が、県が定めた解除の基準に達したとして、急きょ、前倒しされたのだ。

 はたして、街に活気は戻るのか。

 23日夜、千葉県との境にあるJR取手駅前や近くの飲食店街を訪れてみた。居酒屋やスナックが点在する一角だが、ほとんどの店が開いておらず、午後7時を過ぎても歩く人はほとんどいなかった。「2月7日まで休業します」との貼り紙を更新せずに、ずっと休業を続けている店もある。通りは暗く、あまりに静かだ。

 店の前にいたある飲食店の店員はこう話す。

「ここは田舎だから東京の繁華街に比べたらもともとかなり暗いんですけど(笑)。それでももうちょっと人は歩いてましたね。宣言が出て、居酒屋も多くが休業しましたし、スナックなんて、全店が休業しちゃってるんじゃないかな。そりゃ暗いですよ」

 前倒しでの宣言解除についても、手放しでは喜べないようだ。

「通常営業に戻せるのはいいことだけど、いきなり前倒しして解除すると言われても、料理の仕込みやスタッフの人繰りの準備が間に合わない。取手に限らず、ほとんどのお店がそうじゃないでしょうか」

 一方で、開いていた居酒屋をのぞくと、ほぼ満席状態。「通常営業しているのか。何時まで飲めるのか」という問い合わせの電話が何本もかかってきたという。

 さらに歩くと、「夜の店」の客引きの男性が声をかけてきた。

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千葉県から「遠征」してくる客も