

加湿器は春でも、自宅に常備しておきたい季節家電だ。今年は特に新型コロナウイルス対策の必須アイテムという側面も持つ。また、スギやヒノキなどの花粉が飛散する時期を迎え、加湿器は室内に漂う花粉対策としても力を発揮する。
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室内の加湿や換気が新型コロナ対策に一定の効果があるという。理化学研究所が運用するスーパーコンピューター「富岳」によるシミュレーション(模擬実験)では、マスクをせずにせきをしたときに、机を挟んで1.8メートル離れて向かい合った人にどれだけ飛沫が届くかを調べたところ、湿度30%では飛沫全体の6%近くが対面する人に到達。一方、湿度60%と90%のときは到達が2%前後に抑えられたという。
新型コロナウイルス対策目的で需要が高まり、昨年から加湿器の売り上げが伸びている。加湿器メーカー大手のダイニチ工業(新潟)では、今年1月の加湿器の出荷金額が前年同月比約500%となった。
「新型コロナやインフルエンザウイルスなど、呼吸器症状を引き起こすウイルスは乾燥と低温に強く、湿潤と高温に弱い傾向にあります。また、消毒薬もよく効き、加湿やアルコール消毒が威力を発揮します」
そう話すのは感染制御学が専門の東京医療保健大学大学院の菅原えりさ教授だ。
「冬は乾燥しやすい上に、暖房をつけた状態が続くため、より乾燥しやすくなります。冬に快適な湿度は40~60%で、新型コロナ対策としては、厚生労働省が湿度60%と示しています」(菅原さん)
加湿器を室内に置く場合、部屋の片隅よりも真ん中に置くほうがいいという。部屋全体に蒸気を拡散しやすくなるからだ。
「濡れたタオルや洗濯物を部屋の真ん中で干すだけでも加湿の助けになります」(同)
加湿器を使用する時期は一般的に寒くなる10~3月と言われているが、春先でもまだ寒く、暖房を使う機会は多い。
「暖房がいらない季節になると、気温の上昇とともに湿度も高くなりますが、4月以降でも暖房器具を使っているときは加湿器も併用したほうが望ましいでしょう」(同)