■千鳥やタモリとの絡みも抜群

 そんな成田はカメレオンのごとく、バラエティ番組にも見事に対応している。

「映画の舞台挨拶でも結構ボケたりしますし、先日はバラエティ『千鳥vsかまいたち』で奇抜なカツラをかぶって笑いを獲っていましたね。以前は『ミュージックステーション』にバンドの企画で出演しタモリさんと絡んだり、サッカー経験も長いため特番『とんねるずのスポーツ王は俺だ!!』の木梨ジャパンのメンバーでもあります。決してクールな俳優然とはせず、柔軟にお笑い番組を楽しもうとするスタンスは非常に好感が持てます。俳優さんで言うと、菅田将暉さんがずっとラジオのレギュラー番組をやっているため、なかなかこの牙城は崩しづらい。成田さんは幅広い人物になりきれる俳優さんなので、ぜひコント番組などで大活躍してほしいですね。今も『ジャンボ宝くじ』のCMでコミカルな芝居を見せてますけど、バラエティやコメディでも持ち前の芝居力を発揮できれば、さらなるブレイクは確実でしょう」(前出の記者)

 ドラマウオッチャーの中村裕一氏は、そんな成田凌の今後を次のように分析する。

「彼はもともとお笑いやバラエティ番組との親和性が高く、2019年に放送されたスペシャル番組『誰も知らない明石家さんま』での再現ドラマ『さんまが泣いた日』では若い頃の明石家さんま役を演じ、特徴である引き笑いを完璧にマスターするなど、抜群の芝居を見せてくれました。現在、盛り上がりを見せている『おちょやん』でも、大阪・道頓堀を舞台に喜劇一座『鶴亀家庭劇』の座長・2代目天海天海として劇団を力強くまとめあげると同時に、星田英利演じる千之助とのぶつかり合いは迫力にあふれて非常に見応えがあります。先日放送された襲名披露とヒロイン・千代との結婚発表のシーンは、見ているこちらも思わずジーンとくるほどで、感動あふれる屈指の名場面と言えるでしょう。一方で、4月に公開される綾野剛主演の映画『ホムンクルス』では、物語のカギを握る狂気を秘めた研修医役で出演。キャリア的にも年齢的にもまだまだ伸びしろがあることは間違いないですし、一つの枠に収まる器ではない。柔軟かつ変幻自在の芝居を思う存分見せてほしいですね」

 令和のカメレオン俳優・成田凌が秘めたる無限のポテンシャル。この底知れなさこそ、視聴者を惹きつける最大の魅力なのかもしれない。(藤原三星)

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藤原三星

藤原三星

ドラマ評論家・芸能ウェブライター。エンタメ業界に潜伏し、独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を書き続ける。『NEWSポストセブン』『Business Journal』などでも執筆中。

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