2016年に創業した音声メディアの大御所「Voicy」社長の緒方憲太郎さんは、音声配信の人気の背景には、ハード面とコンテンツ面のふたつの進化があったと見ている。
「AppleがAirPodsを発売し、コードレスイヤホンが一般的になったことも大きいでしょう。これでスマホで音声が格段に聞きやすくなった。さらにフェイクニュースや炎上があふれる従来のSNSに多くの人が辟易して、新しいタイプのSNSの登場を待つようになっていた。そこに現れたのが、音声のSNSだったんですね」
音声には、ながら聞きができるという大きなメリットのほか、「嘘がつきにくい」「炎上しにくい」というメリットもあると、緒方さんは言う。
「声だけの情報を聞いていると、その人の本質が見えることがある。動画ではビジュアルや背景などに気を取られて、気がつかないこともありますから。また発信側も声だと嘘をついてもバレてしまうことが多いんじゃないかな。声のやりとりは、そんなスキンシップに近い感覚。だから炎上しにくいのではないかと思っています」
(ライター・福光恵)
※AERA 2021年3月22日号より抜粋