■意識高くてまっとう
続いて2番目のカテゴリーは、議論系。モデレーターと呼ばれるルーム主催者がテーマを設定、参加者が思い思いに議論を戦わせるルームだ。テーマはジェンダー論からラーメン論まで、ネットながら、まっとうに議論を展開しているのが印象的だ。こちらがクラブハウスにつなぐと、朝も夜も必ずオンラインになっているヘビーユーザーの知人(40代・自営業)はこう話す。
「半分リアル、半分バーチャル、みたいな、音声コミュニケーションならではのメリットでしょうね。面と向かって議論しているのと同じで、クラブハウスでは、人の発言に茶々を入れたり、からかったりする人は少ない。意識の高い人が多く、荒れずにちゃんとした議論が展開されていることも多いと思います」
最後のカテゴリーは、サロン系ルーム。芸能人はもちろんのこと、有名文化人やカリスマ経営者などに心酔するファンが集まって、その生声を拝聴する、音声のファンミのようなものだ。カリスマとその側近の2~3人だけが話をして、あとは聞き専。以前はテスラの創業者「イーロン・マスク」クラスの大物が降臨して、回線がパンクしたこともあったっけ。
「当初に比べると、やってくる有名人も顔ぶれが決まってきた。かつての熱狂が少し冷めてきたように見えるのは、そんな代わり映えしないルームが飽きられてきたというのもあるかもしれません」(前出の石川さん)
さて、おさらいが長くなったが、このへんで本題。実はクラブハウス登場の数年前から、音声のTikTokや、音声のインスタなどという異名を持つ音声系アプリが各種登場。古くからあるポッドキャストの人気もじわじわと広がるなど、音声SNSブームの予兆は起こっていたらしい。
■炎上しにくいメディア
生放送オンリーのクラブハウスと違って、アップされた音声をあとから聞き返せたり、検索したりできる、音声のブログのような機能があるサービスがほとんど。発信者になるのも簡単で、音声のユーチューバーのような、人気発信者も増えていた。