■高まる防音の個室需要
仕掛けたのは、テレワーク・テクノロジーズ社の荒木賢二郎代表取締役CEO。もともと飲食店舗の使っていない時間帯や設備をシェアして有効利用するマッチングサービスを展開していたが、2019年夏頃からワークスペースとして活用する準備を進めてきた。今年1月に正式にサービスをリリースしたばかりだが、現在、首都圏を中心に全国46店舗が利用できる。
荒木CEOによると、いまオンライン会議の増加によって需要が高まっているのが、音の遮断できる個室だ。たとえばファミリーレストランのデニーズ築地店では、もともと喫煙ブースだったスペースを、テレワーク用の個室に改装。今月8日に同サービスを開始した。
壁に向かってしつらえられたカウンターに2席あり、1~2人で利用できる。3畳ほどだが、すりガラスで自然光も差し込み、圧迫感はない。ドアを閉めると客席の音はほとんど聞こえず、オンライン会議も問題なくできる。電源とWi-Fi完備。通常税込み438円のドリンクバー付きで2時間600円というから破格だ。7~20時と稼働時間が長いのも使い勝手がいい。
運営するセブン&アイ・フードシステムズ広報室のすぎ(木へんに久)谷大樹さんによれば、背景にはやはりコロナの影響が少なからずあるという。以前は昼すぎから夕方にかけてのいわゆるアイドルタイムも常に混雑していた店舗でも、空席が埋まらなくなってきた。その時間帯と客席をどう有効活用しようかと考えた結果、導入に踏み切った。個室はいまのところ築地店だけだが、例えば浅草、錦糸町、八王子の店舗では、14~18時の間、電源のある店舗の一角を区切り、専用スペースを設けて運用している。
「ファミリーレストランですから、当然お子さま連れの方もいらっしゃいます。お食事とお仕事のスペースをわけることで、お互いに気兼ねせずにご利用いただけることがポイントだと考えています」
都心部や住宅街といった立地による違いを検証し、今後さらに展開店舗を増やす予定だ。