日を改めて、平日の午後に再訪。店内では2組の先客が話しながら食事をしているだけで、声のボリュームはまったく気にならない。案内された4人がけのボックス席をひとりで占拠し、パソコンを開く。足元に2口のコンセント。公衆無線LANではなく専用のWi-Fiが引かれているため接続や速度も安定している。今日は集中して仕事ができそうだ。はっと気づくと30分が経過、グラスにはまだ1杯目が半分ほど残っていた。この日は2時間利用し、3杯で終わった。飲み放題の「元が取れる」かはさておき、このペースであれば酔うほどではない。むしろほどよく力が抜けて、仕事がスムーズに進んだ。曜日や時間は選んだほうがよさそうだが、利用価値は非常に高いと感じた。

■コロナ禍で導入を決断

「統計を取っているわけではありませんが、2時間のご利用で3~4杯、というお客さまが多いように思います。前半は仕事に集中し、後半はお酒を楽しむ、という方もいらっしゃいますね」

 そう語るのは、日高潤一店長。テレワーク利用者が多いのは昼すぎから夕方にかけて。20代後半から40代の1人客が中心で、概ね男性6対女性4の比率だという。4~6人がけの六つのボックス席と個室に電源がある。ワインは30~40種類ほど常備しているそうで、取材時は、スパークリングと赤白各8種類の計24種類に加え、サングリア6種類の、計30種類が飲み放題で提供されていた。別料金ではあるが、食事をオーダーできるのも高ポイントだ。

 同店が導入に踏み切った理由としては、やはりコロナの影響が大きい。来店客は一時期9割減にまで落ち込み、売り上げがゼロの日もあったという。その打開策として、空いている席を活用できないかと考えた。

 このプランは、「テレスペ」という、テレワークスペースのシェアリングサービスを通じて提供されている。テレスペをLINEで友だち追加し、クレジットカードを登録して会費100円を支払う。予約はできないが、ネット上で空席確認が可能。あとは店頭でテレスペ利用であることを告げてLINEからチェックインボタンを押すだけだ。

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