■勤めていても妻は退職

 資産1億円でFIREを達成し、今では米国株に加えて不動産や太陽光発電にも投資しているたぱぞうさん(40代後半)は、会社員時代に妻を病気で失うつらい体験をした。

「妻は安定した企業で働いていましたが、3年間の病気療養で退職せざるをえませんでした。企業に勤めていても、病気になったあとの生活を一生担保してくれるわけではありません。組織は契約関係の中で人を切っていく面があります。逆に同僚が心の病を患う姿などを見てきて、『なんのために会社でそこまで頑張る必要があるのか』という思いが出てきました。それも会社を辞めて独立するきっかけになりました」と語る。

 会社に勤めているから大丈夫というわけではない。備えが必要なのは、FIREをしていてもしていなくても同じだ。(ジャーナリスト・安住拓哉、編集部・小長光哲郎)

AERA 2021年4月5日号より抜粋

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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安住拓哉

安住拓哉

出版社勤務を経て2021年に独立。経済関連記事全般が得意。取材・執筆歴20年以上。雑誌の取材記事の他、単行本のライティングも数多く手掛ける。

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