4月21日の名古屋市長選で、現職の河村たかし氏が自民党県連などが支援する候補らに圧勝し、3度目の当選を果たした。

 相手陣営側の「アベノミクス」の追い風をものともせずに勝利した河村氏は、「次は参院選にあっと驚く候補を」と、舞台裏で虎視眈々(こしたんたん)と「大物擁立」を狙っているというのだ。

 河村氏が代表を務める減税日本は度重なる迷走が嫌われたのか、昨年12月の衆院選で惨敗。国政の議席はゼロになってしまった。これを受けて名古屋市議の11人が減税日本を離脱。新しい会派「新政会」を結成した。一部市議は日本維新の会入りを希望した。

 名古屋市長選と同日に行われた名古屋市議補欠選挙でも、それらの議員は日本維新の会の候補者を応援するという迷走ぶり。「河村さんの看板で当選して、日本維新の会とのコネができた。すると減税から維新だ? とんでもない」(減税日本幹部)。

 河村氏も負けてはいない。日本維新の会に談判して、入党を認めないように求めていた。日本維新の会も、認めない方向で調整が進んでいるという。「だいたい減税日本で当選したのに、会派を離れるなら議員も辞めるべし」と、河村氏は離脱議員を一喝する。

 市長選の圧勝を境に、河村市長の求心力がよみがえりつつあることは確かだ。減税日本の参院選の候補者は、愛知選挙区から擁立する見込みだ。

「自民に圧勝した市長選は価値がある。このまま、アベノミクス一人勝ちにはしない。大物は誰かって? いまは、それだけは言えんだぎゃあ」。河村氏は人脈をフル回転させて、候補者を口説いているという。河村氏本人の「一発逆転立候補」の可能性は? まだまだ、河村氏から目が離せない!

週刊朝日 2013年5月24日号