4カ月後に開幕が迫る東京五輪は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、これまでとは違った雰囲気になりそうです。
3月20日の政府、東京都、大会組織委員会、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)の5者協議で、海外客の受け入れ断念が正式に決まりました。
残念な気持ちはありますが、世界中でコロナ禍が続く中で開かれる五輪として、安全を優先した判断だと受け止めています。
五輪の競泳は前半にあるので、開会式に出たことはありません。ロンドン五輪の開会式を選手村のテレビで見たとき、ジェームズ・ボンドやミスター・ビーンまで出てくる、イギリスならではの演出を楽しみました。競技が始まると、毎日、目の前のライブの競技に集中しています。選手村のテレビは国際映像を使うので、国内でどのように報道されたかは、日本に帰ってから、人づてに聞くことがほとんどでした。
4月3~10日の日本選手権(東京アクアティクスセンター)で五輪代表選手が決まります。自国で開かれる五輪は初めての経験です。選手が競技に集中できる環境をいかに作るか。チームの戦い方として重要な点だと思っています。
(構成/本誌・堀井正明)
平井伯昌(ひらい・のりまさ)/競泳日本代表ヘッドコーチ、日本水泳連盟競泳委員長。1963年生まれ、東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。86年に東京スイミングセンター入社。2013年から東洋大学水泳部監督。同大学法学部教授。『バケる人に育てる──勝負できる人材をつくる50の法則』(朝日新聞出版)など著書多数
※週刊朝日 2021年4月9日号