岡崎さんは、さらにこう続ける。
「鶴田さんが、すぐに機嫌が悪くなったりして気難しいから、田中さんがNGを連発していたのを思い出します。『次はNG出しませんから』と弁解する表情が独特でしたね。あの人は何かを食べていようが、泣いていようが、笑っていようが、同じ顔でね、倉本聡さんが好きだったのがわかりますね」
■「お金が入っちゃって…」
田中さんといえば、主演もしたが、名脇役としても知られる。
「天下の二枚目俳優に合うんですよ。鶴田浩二さんも、高倉健さんも、加山雄三さんもみんな、田中さんを脇役に置きたかったの。自分を引き立てるために、光らせてくれるから。体もそんなに大きくなかったし、顔も独特だから、すべての主役がいい男にはえるから脇につけたかったんですよ」(岡崎さん)
みんなが尊敬する脇役だった。
「脇役といっても、主役の相手役という感じ。一時は『お金が入っちゃて、入っちゃって』とか冗談まじりに言ってました。主役級のお金ももらっていたんです。これから100年は出てこない男の相手役でした」(同)
葬儀は家族で営んだという。(AERAdot編集部・上田耕司)