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「その仕事に本当に必要なもの」を勘違いしているケースは意外と少なくないかもしれません。夢の追い方を間違えるパターンです。YouTuberになりたくて、動画制作や編集ソフトの技術を磨く人がいます。しかしながら、この努力は必ずしも必要ではありません。映画やCMのような映像を作れる人が、YouTubeで成功するわけではありません。

 例えば漫画の場合、「ドラゴンボール」「AKIRA」「バガボンド」など、圧倒的な画力で大ヒットしている漫画は多く、多くの人々が漫画に対して持つイメージは、上手な絵がセットになっています。しかし、さらに分析してみると、「カイジ」「ちびまる子ちゃん」など、絵がシンプルで人気な漫画も複数あります。

 現在、大ヒットしている「進撃の巨人」も、個人的な主観ではありますが、絵が驚くほど上手ではない漫画だと思います。「進撃の巨人」の作者である諫山創先生は、かつて絵の技術が足りないために連載を断られているそうです。それでも連載に至り、アニメ化して大ヒットし、私を含む多くのファンを抱えた理由は、とにかく圧倒的に話が面白いからです。人気の漫画は全て、ストーリーが面白いのです。絵の技量に関係なく、ストーリーに引き込まれて読むのが漫画というコンテンツです。

 そのため、ヒットする漫画に必須なのは、絵の上手さよりも、圧倒的に面白いストーリーを考えるチカラです。漫画家を目指して絵の練習をする人々は非常に多いのですが、絵の練習よりも、キャラクターの設定やストーリーの構成、伏線や展開を考える練習をし、面白い話を生み出すための引き出しや知識を得たり、感性を磨くべきです。漫画においては、「絵が上手い=漫画として成功する」ではなく、「ストーリーが面白い=漫画としてヒットする」が本質だからです。もし夢やなりたい職業があるのなら、この本質的な部分を理解すべきです。

 YouTuberはどうでしょうか。動画の編集技術や編集ソフト、映像制作を学べばYouTuberとして成功できるでしょうか。答えはノーです。動画編集者ではなく、YouTuberになりたいのなら、必要なのは「企画力」だと考えます。誰のために、どんなチャンネルを作り、どんな動画を作るのか、これらを考える能力です。自分が何を作りたいのか、ではなく、人が何を見たいのか、を研究する能力です。

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