(2) 翌年の平成23年(2011年)3月に発生した東日本大震災の影響を受けて、当時は時給制のパート従業員として働いていた母の出勤日が少なくなり、収入も激減することになりました。そのことを知った元婚約者の方は、困っているのに知らぬふりなどできません、家族になるのですから当然です、こういうときこそ協力し合わねば、婚約者という立場で良かった、頼られて嬉しいです等とおっしゃってくださり、実際に金銭の支援をしてくださるようになりました[注10]。
母は、元婚約者の方が婚約する際に金銭面も全面的にバックアップしてくださるとおっしゃってくださったことがあるとは言え、助けていただきたいとお願いすることに躊躇もあったため、お借りできますかとお願いしたこともありました。また、元婚約者の方が支援をしてくださる際には、本当に(お金を出していただいて)よろしいのですか?、ご無理ではないですか?、大丈夫ですか?と度々お聞きしていました。その度に元婚約者の方は、家族になるのですから当然です、頼られるのは嬉しいです、心配には及びません、男に二言はありません等とおっしゃってくださいました。
家族になるのですから当然ですと度々おっしゃってくださり親身になってくださったことで既に3人家族になっている心持ちでいた母は、元婚約者の方の言葉を信じて支援を受けるようになりました。このとき以降平成24年(2012年)9月に元婚約者の方のご意向で婚約を破棄されるまでの間、私と母は元婚約者の方から支援をいただきました[注11]。当時の私は、元婚約者の方が常に母に気を遣わせないようにご配慮くださるのを見て尊敬していましたし、母との間で、元婚約者の方が素敵な方だということや、助けてくださって本当にありがたいという話題が出ることもしばしばありました。元婚約者の方が母との婚約を破棄するまでの間支援してくださったことへの感謝の気持ちは当時も元婚約者の方に繰り返しお伝えしていましたが、今も大変ありがたく思っています。
(3) 平成24年(2012年)9月13日午後11時15分、母は元婚約者の方から、婚約を解消したいという一方的な申し入れを突然受けました[注12]。理由について尋ねても元婚約者の方からの説明はなく、理由が明らかにされないまま[注13]母は婚約解消を受け入れざるを得ませんでした。
このとき母が、婚約期間中に受けた支援について清算させていただきたいとお伝えしたところ、元婚約者から「返してもらうつもりはなかった」というお返事が返ってきました[注14]。以上のような理由から、母は、婚約解消にあたって2人の間でお金をやり取りする必要はなくなったと理解しました(「4」注9を参照してください)。