18年ぶりの邦画長編映画単独主演作「Sin Clock」で窪塚洋介さんが演じるのは、社会からも家族からも見放されたタクシードライバー。役でまとった“どん底”のオーラはどこから来るのか。
【写真】オーラがすごい! 窪塚洋介さんをもっと見る(全7枚)
SNSの台頭によって、有名人に仕事をオファーするときのアプローチ方法が激変した。従来のような「まずは誰かのツテをたどってみる」というやり方から、直接、その人や事務所のウェブサイトにコンタクトを取ることができるようになった。窪塚さんの“最新”主演映画も、監督の牧賢治さんから、直接事務所に連絡があった。
「それだけでもう熱量高い感じがしてうれしかったんですが、オファーがあった時点で牧監督の書いた脚本も、ちゃんとできあがっていた。読ませてもらったらすごく面白かった。これを言ったら元も子もなくなっちゃうけど、脚本さえ面白かったら、ある程度の役者をツモれば、誰がやるかなんて、大した差にならないんです(笑)。まあ、せっかく自分にオファーしてくれたからには、誰が出るよりも面白いものにしようとは思いますけど」
牧監督は、窪塚さんと同い年。2014年に予算20万円で作った短編が、ヒューストン国際映画祭短編部門でゴールド賞を受賞し、その後もサラリーマンをしながら自主制作を続けていた。
「牧くんに会ってみたら、育ってきた環境は全然違うんだけど、触れてきたものやアンテナが向いている対象がすごく似てた。昔からのツレみたいな感じがしました。漠然とですが、『この人となら一緒にいいものが創れる』と思えたのが、すごく印象深かったです」
窪塚さん演じる高木シンジは、理不尽な理由で会社をクビになり、妻子から三行半を突きつけられ、ようやくありついたタクシードライバーの仕事では、客から蔑ろにされる。そんな中、同僚のタクシードライバーと共に、絵画強奪計画を画策。人生の一発逆転劇を仕掛けるというストーリーだ。
「監督の熱量にやられただけでなく、本読みになったら、共演者のパワフルさにも驚かされました。葵(揚)くんの演じる役は、賭博狂の元自衛官で、坂口(涼太郎)くんが演じるのが、サヴァン症候群によって驚異の記憶力を持つ元数学教師。2人とも、俳優としては後輩だけど、すごく頼りになりました。僕の演じたシンジという役が、めっちゃ中ぶらりんで中途半端に漂っている、くすんだ感じのヤツだったんで(笑)。どのへんを漂ってればいいかっていうのを明確にしてくれた」