林:今もホステスさんは、日経新聞とか「会社四季報」とかを読んでるんですか。
甲賀:残念ながら、そういう余裕がある方は少なくなったかもしれないですね。でも、社会情勢をちゃんと把握している人のほうが、ホステスとして売れることは間違いないので、そういう啓蒙活動も、協会として重要視しています。
林:銀座のクラブのホステスさんって、あれだけの着物やドレスが必要なんだから、誰か男の人の援助も必要なんじゃないかと思いますけど、そういうところにも切り込んで、男女間の曖昧なところをシステム化していくというのは難しいですか。
甲賀:愛人的な倫理観というか、性に対する概念というか、そこは人それぞれで、何が正解かを断言できないし、断言するものでもないと思うんですね。私自身は性に対して潔癖なので、「お金のために」というのは一ミリもなかったですけど、愛着や愛情が絡んで、かつ「お金をもらえるなら」みたいな考えの方もいらっしゃると思うんです。たとえば銀座でお店を開くとなると、保証金だけでも家賃の6カ月から1年分を現金で納めなきゃいけない。内装も豪華にしなくてはいけない。それは億のお金になったりするんですね。
林:えっ! そんなに!
甲賀:どんな売れっ子さんでも、億のお金を貯蓄してる方はそんなにいないと思うし、それにプラス、人集めとかにお金が必要なわけです。企業であれば融資を受けられますけど、クラブでそれを受けることは、ほぼ無理。そうなると“パパ”の存在が必要になったりして、いろんな問題が複雑にからみ合ってるんですね。
林:銀座のクラブって、きれいな人が横にすわってくれるけど、それ以上のことは何もしてくれなくて、それでいてすごく高いお金を取るから、外国人はみんな不思議がりますよね。女の人はお金をもらうためにきれいにしなきゃいけないし、話術も身につけなきゃいけないという非常に特殊な形態ですよね。
甲賀:そうですね。銀座のお店にいらっしゃるお客さま方は、たいてい妻子持ちだったり、会社でもそれなりの立場がおありだと思うので、素人さんに手を出したらいろいろと面倒くさいことが生じがちなんですけど、「銀座のクラブのホステス」というプロの皆さんだと安心して遊べるので、その意味での高単価なのかなと思います。