
今シーズンは、阪神・糸井嘉男の現役ラストイヤーになってしまうのか。
チームのスタートダッシュ成功の陰で、開幕スタメン落ち。このまま世代交代の波にのまれてしまうか、それとも……。
糸井本人も「どういう場面でもしっかりやることしか考えてないんで」と開幕前から覚悟はしていた。
3月26日ヤクルトとの開幕戦(神宮)、糸井の名前はスタメンになかった。08年の日本ハム時代からオリックス、阪神と球団を渡り歩きながら13年連続開幕スタメン出場を続けていたが、今年で途切れた。
「開幕戦はプロ野球選手にとって特別で、いまだに赤飯を炊く選手もいる。レギュラーでないことは自覚した上でも、ショックはあっただろう。開幕前から前向きに頑張っていた。今後も必要な選手に変わりない」(阪神関係者)
例年以上に順調な仕上がりで、オープン戦は12試合の出場で打率.381と好調を維持。開幕スタメンに名を連ねる可能性もあると思われていた。
「阪神の伝統というか、名前を大事にする部分がある。生え抜きや実績あるベテランに対する尋常ではない配慮は、これまで山ほどあった。それが新陳代謝、世代交代の阻害要因の1つだった。糸井を外したということは、何かが変わり始めたとも言えるかもしれない」(阪神担当記者)
阪神では鳥谷敬(現ロッテ)が04~18年まで15年連続で開幕スタメンを記録していたが、19年には当時新人だった木浪聖也がその座を奪っている。
「嘉男も代打で良いと思っていないと思うし、もっと打席に立ちたいとか。もっと『オレやる』っていう気持ちがそういう姿勢にも表れていると思う」(3月20日/矢野燿大監督)
開幕前に絶好調だった糸井は、オリックスとのオープン戦で同点に追いつかれた直後の7回に代打で登場。1死一、三塁のチャンスにタイムリー打を放ち、指揮官もそれを高く評価したが……。
「中堅の近本光司は攻守で外せない。糸井は守備、走塁も素晴らしいが、以前ほどではない。そうなると飛び抜けた打撃成績を残さないといけない。ジェリー・サンズ、佐藤輝明などを凌駕できるか。逆に中途半端に糸井が出場した方が、他球団はやりやすいはず」(在京球団スコアラー)