来日2年目のサンズは開幕戦で2本塁打を放つなど、ここまで5本塁打(4月16日時点)。超大型新人として注目を集める佐藤も同じく5本のアーチを記録している。好調のチームにとってはありがたいが、糸井にとっては先発で出場をする機会が減るということを意味している。

 03年のドラフト自由枠で近畿大から日本ハムへ投手として入団。06年から野手に転向して才能が開花した。これまでシーズン打率3割&20盗塁を8度マークするなど、長年球界のトッププレーヤーとして活躍。188cm100kgという日本人離れした身体で、圧倒的な存在感を放ってきた。

「絵に描いたような5ツールプレーヤー。ポテンシャルで言えば、大谷翔平(エンゼルス)と双璧。時代が違えば、二刀流で大騒ぎになったはず。外野からの送球を見ても分かるが、投手としても行けそうだった。マイペースな性格も米国向き。メジャーに挑戦したら確実に結果を残せたはず。レギュラーとして10年以上はできたんじゃないかな」(MLBアジア地区担当スカウト)

 プロ18年目となる今年、糸井本人はレギュラー奪取へ並々ならぬ意欲を燃やす。しかし皮肉なことに、日本人離れした肉体が負担になっているのも事実。近年はヒザに水がたまるなど、万全でない状態が続いている。

「鍛え抜かれた上半身は、彫刻のよう。しかし筋肉は運動能力を上げる反面、重りにもなってしまう。上半身に比べ、下半身はスピード重視のスプリンター型。上半身を長年支えて来た下半身が疲弊するのは必然」(元在京球団トレーナー)

「メジャー選手と比較すると下半身が細い。長くプレーするには、下半身にも持久力が大事で、多少の大きさ(=太さ)も必要。もしくはイチロー(マリナーズ他)のように、身体を全体的にシャープに保ちつつ筋力をつける。これは日米共通で、特にスピードが必要な外野手での常時出場は厳しくなる」(前出MLBアジア地区担当スカウト)

 満身創痍、特にヒザの状態がアスリートとして限界点に達しつつあることは周囲も承知している。2月14日放送のTBS系列『S☆1』では、インタビュアーの新庄剛志からも心配されアドバイスを受けた。

「今年、引退したら?その気持ち。俺は日本ハム時代の4月に引退宣言したら、次の日から痛みが消えた。引退するくらいの気持ちでやってみて。良いプレーをしなくてはいけないと思ったら、ヒザ気になるやん。そうしたら全力で走れないやんか」(新庄)

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ブレない入団当初からの思い