新型コロナウイルスの第4波が本格化している。AERA 2021年4月26日号で、感染症専門医の岩田健太郎医師が、日本のコロナ対策の課題を語った。
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――日本国内でも従来のウイルスよりも感染力が高い変異株が急速に増え、新型コロナウイルス新規感染者の増加が続いている。神戸大学大学院教授で感染症専門医の岩田健太郎医師は、この第4波は「防ぎようのない自然現象として起きたわけではない」と指摘する。
第4波の到来を防ぐチャンスはありました。国内で最初に変異株への感染が報告されたのは昨年末でした。その際、水際対策や、変異株に感染した人と濃厚接触者に対する疫学的な調査を、徹底的に強化するべきでした。当時は「変異株はまだ面的な広まりがない」といった理由で、海外に比べれば緩やかな対策しかとられませんでした。しかし、山火事と同じで、面的に広がっていない時こそが消火のチャンスだったのです。新規感染の半数以上を変異株が占めるまで広まってから抑え込もうとしても無理です。
■人との接触で感染増
――「第4波は来るべくして来た」という。なぜか。
単純なことで、それは対策を緩めたからです。十分に感染が抑えられていない段階で、第3波の緊急事態宣言を解除してしまいました。当たり前ですが、対策を緩めて人と人との接触が増えれば、感染は増えます。
――さらに、とられた対策自体の甘さも指摘する。
第3波がなかなか収まらなかったのは、感染者数や重症患者数が第1波、第2波よりずっと多くて山が高かったのに、対策が1回目の緊急事態宣言の時よりも全体的に弱い内容だったからです。しかも、会食や旅行を推奨するGo Toキャンペーンが続き、なかなか緊急事態宣言が出ませんでした。
――岩田医師は、「緊急事態」にあるというメッセージが国民に伝わらなかった、とみる。
人出の減り具合は鈍りました。「自粛疲れ」と言われますが、個人の「行動変容」に頼っているようでは、感染対策はうまくいきません。もちろん、一人ひとりに感染を防ぐ行動をとってもらうことは大切ですが、そのためには、政府や自治体のトップが、矛盾のない明確なメッセージを出す必要があります。
第3波の際にGo Toによって矛盾したメッセージを出し、失敗したにもかかわらず、また第4波でも聖火ランナーを走らせる、緊急事態宣言は出さずに「まん延防止等重点措置」で済ませる、といった対策や活動が続いています。責任ある政治家が断固として感染を抑える決意をしているようにはとても見えません。いくら不要不急の外出を控えて下さいと訴えても、人々の心には響きません。