厚労省が所管する保健所はコロナ患者数が増加した昨年、陽性者の集計作業で「FAX」を使用。 手書きであることから見づらく、 集計ミスを連発した教訓を踏まえ、 厚労省は威信をかけ、陽性者数把握システム「HER-SYS」を開発した。さらにワクチン円滑化システムも必要と昨年から「V-SYS」を別個に開発したが、今年1月に河野大臣が登場し、混乱に拍車をかけたという。
「自治体は以前から予防接種台帳で管理していたのですが、把握に数か月かかると河野大臣の肝いりで内閣官房がワクチン接種の予約システムVRSを開発しました。こうしてシステムを機能ごとに分化してしまったので、情報を一元管理ができず、地域ごとの感染状況をリアルタイムで捉えたワクチンの供給体制の構築ができていません。ワクチン接種を見切り発車したツケで混乱に拍車をかけています」(前出の政府関係者)
これらのシステムは地方自治体や病院など現場からの評判が最悪で、「粗悪なシステムの押し売り」「システムハラスメント」という批判が相次いでいるという。
「あまりにも使い勝手が悪く、全国の病院からシステムのコールセンターへ電話が殺到しています。何度、電話してもつながらない、コールセンターですら詳細を把握できておらず、話にならないという苦情も多い。このように混乱している中、『ワクチンは必要数を確保できるが、いつまでに接種が完了するかは自治体次第』などとワクチンの遅れを現場に転嫁するような発言をした河野大臣に批判の声が各自治体で上がっています。河野大臣を“混乱太郎”と揶揄しているという笑えない話も聞こえてきます」(厚労省関係者)
頼みのワクチン接種が思うように進まなければ、菅義偉総理が命運をかける東京五輪・パラリンピック開催も危うくなる。菅総理は23日の会見でワクチンについて、大型連休明けまでに700万回分、それ以降は毎週約1000万回分を全国に配布し、6月末までに計1億回分を配布できるようにする、と発表している。
「ワクチンが入ってきません。我が国のワクチン接種回数は(2回目も含め)スタートから現在までで累計約251万回。米国は1日で約400万回です。訪米した菅総理は9月末までに全国民が受けられるワクチンを確保したと言いましたが、ファイザーのブーラCEOはツイッターでEUとの追加供給は公表したものの、菅会談については何の言及もしていません。会談が終わって1週間が経過しても契約書はもちろんない。ワクチン外交の失敗を隠匿する詐欺のようなものです」(官邸関係者)
混乱の収束の道筋はいまだに見通せていない。
(AERAdot.取材班)