国際協力やサステナブルといった社会問題を発信する、Z世代のインフルエンサーたち。社会問題への興味と発信は、彼らの特徴でもある。AERA 2021年5月3日-5月10日合併号は、フリーランス国際協力師の原貫太さん、ぷるこさんを紹介する。
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路上の薄いシートに横たわる少年の手足は異常なほど細い。目に生気はなく、口は半開き。傍らには通行人に小銭を投げ入れてもらうためのボウル。
ひと目で心をえぐられる写真から始まる一本の動画が、YouTube上で注目を集めている。途上国で、物乞いのために子どもが貸し借りされる「レンタルチャイルド」について取り上げたもの。投稿されたのは去年だが、今年2月から急速に再生数が増えはじめた。現在までに約61万回再生され、600件近いコメントも寄せられている。
動画を作成したのは、「フリーランス国際協力師」原貫太さん(27)。草の根でアフリカ支援に従事しつつ、途上国や国際協力について発信する。これ以外にも、性暴力や迷惑寄付について取り上げた動画が「バズって」きた。YouTubeのチャンネル登録者は5万人に上る。
発信を始めたのは、学生時代に訪れたウガンダで元子ども兵の話を聞いたことがきっかけだ。その経験をネットメディアに寄稿すると10万人以上に読まれ、SNSでは1千件超の「いいね」がついた。以来、ブログやツイッターを経て、今はYouTubeを主戦場に発信を続ける。
「目指しているのは『関心を持ち続けてもらう』こと。何かのきっかけで記事を読んだり動画を見たりすれば、その瞬間は関心を持つと思う。でも、考え続けるのは難しい。発信を通してそこを超えていきたいんです」
■意識高い系ではない
「重たいテーマ」から目を背けず、独特の語り口でわかりやすく解説する。アフリカ人との軽妙なやり取りを見せることもある。「原貫太が語る動画」として緻密にブランディングされている印象だ。動画ごとに多少の違いはあるが、視聴者の半数超が34歳以下で、なかでも24歳以下が35%ほどを占めるという。
よりコアなファンや深く学びたい人向けに開設したオンラインサロンも、学生や20代が多い。サロンメンバーの山崎達夫さん(28)は、個人の立場で国際協力活動を続ける原さんの働き方と発信方法に興味を持った。