治療以外にも生活面でさまざまな問題を抱えることになる「がん」。その支えの一つとなるのが、患者の体験談だ。ネットの怪しい医療情報に惑わされない方法を医師に聞いた中編に続き、ネット上の体験談との向き合い方や、活用できる相談窓口について、『手術数でわかる いい病院2021』(朝日新聞出版)から紹介する。
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がんにかかると治療以外にもさまざまな問題が生じてくる。治療による副作用や後遺症、見た目の変化、医療費や生活費などお金のこと、療養中の育児、仕事の先行き、再発の不安……。生活にかかわる情報は、治療後も数年先まで必要になることが少なくない。
生活関連の情報はがん情報サービスや日本対がん協会などのサイトでも提供されている。しかし一人ひとり置かれている状況は違うため、自分に合った情報を見つけ出すのは難しい。
そこで活用したいのが、個別の相談窓口だ。がん対策情報センターや日本対がん協会は電話で相談を受け付けている。また各地のがん診療連携拠点病院に設けられている「がん相談支援センター」では、研修を修了した看護師やソーシャルワーカーなどの専門職が、対面や電話で対応。どこに相談していいかわからない問題も一手に引き受け、関係各所と連携を取って解決に導いてくれる。その病院にかかっていない人でも利用でき、家族や友人など本人以外の相談も可能だ(記事後半に一覧を掲載)。
■体験談は大きな力になる ただし問題があるものも
また、インターネット上には、がんになった人が体験を発信するブログやサイトがたくさんある。こうした同病の人の体験談を読んでいるがん患者は少なくない。がん経験者のコミュニティーサイト「5years」を運営する大久保淳一さんはこう話す。
「初めてがんになった人は、これから治療が始まってどんな変化が起こるのかわかりません。そんな不安の真っただ中にいる人にとって、体験した人だからこそのこまやかな情報は大きな力になります」