個性派俳優・佐藤二朗さんが日々の生活や仕事で感じているジローイズムをお届けします。今回は、年齢について。かねて「精神年齢8歳」と公言してきた佐藤さんでしたが……。
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なんたる。
なっちまった。俺、52歳になっちまった。5月7日、なったんです僕、52歳に。
白髪は増え、老眼とメタボは進み、お酒に少し弱くなった。カルビなどの脂身が多い肉はあまり量を食べられなくなり、代わりに漬け物とか冷奴などサッパリしたものを好むようになった。まだまだとも言える歳だが、確実に老化は始まっている。いいだろう。老化、上等。おせち料理の風情に心惹かれたり、旅番組を眺めてるだけでやけに落ち着いたり、なんかこう、若い頃にはなかったような味わい深い感情も芽生え始めている。歳を重ねるのは悪いことばかりではない。
が。が、である。なぜだ。なぜなのだ。精神年齢だけが、一向に歳を重ねる気配がない。
以前、ラジオ番組で、プロの占い師さんに精神年齢をみてもらった。「精神年齢8歳の52歳児」を標榜する俺だ。もし占い師さんに「あぁ、二朗さんの精神年齢は実年齢相応ですね」などと言われたら営業妨害だ、などと心配していたら、「11歳か12歳です」と真顔で言われ、冗談半分で標榜していた精神年齢とわりと肉迫していたという涙が止まらぬ結果となった。
「わたしはドラえもんじゃないんだよ」。よく妻に言われる。佐藤家におけるのび太である俺は、常にドラえもんである妻に聞く。頼る。先日なんぞは、朝、仕事に出掛ける前、着ていく服やら、今日が暑いか寒いかまで妻に聞いてたら、「わたしはGoogleじゃないんだよ」という新たな切り口の発言まで妻から飛び出した次第だ。
夜は「今日あった出来事をお母さんに聞いてもらう」権を息子と熾烈に争い、晩酌の時は妻が作った手料理がテーブルに並ぶ前にソワソワする。今か今かと待ち遠しく、ソワソワする。「大のおとながそんなにソワソワする姿を見たことがない」と妻に言われる。
そして、つい先日。
あるテレビ番組で、またもやプロの占い師さん(ラジオの時とは別の占い師さん)にみてもらった。もう、ここまで来ると、精神年齢の低さを笑いに変える気も失せ、そしてラジオの時とは別の占い師さんなのだから、あの、「11歳か12歳です」という見立てを覆して欲しいと思い、ほとんど祈るような気持ちで聞いた。