「もちろんルールは破ってはいけない。でも同じ経営者として気持ちは分かります。それだけ苦しいんですよ。家族や従業員を路頭に迷わせるわけにはいかない。政府のコロナ対策も場当たり的な対応で感染を抑止するビジョンがないので信用できないんですよ」と不信感を口にする。
コロナの感染が拡大する前は、東京五輪開催で世界中から多くの人達が東京に押し寄せ、飲食業も特需に期待が高まっていた。だが、変異型のコロナ感染が急速に拡大し、海外客の受け入れを見送る事態に。医療体制がひっ迫しているため、無観客での開催も現実的な選択肢となっている。
「アスリートの方々の心情を考えると軽々しく言うことではないと思うのですが、予定通りに東京で五輪を開催したら、コロナ感染がさらに拡大して飲食店、百貨店などはさらに窮地に追い込まれる恐れがあります。コロナを封じ込めるなら徹底的にやってほしい」
SNSやネット上でも政府の対応に不満の声が相次ぐ。
「この一年で政府がしたことは、お願いと希望的観測。当然ながら終息なんてするわけがない。対策はワクチンしかないわけで、一年延期したが具体的な見通しを立てることができなかった時点で詰んでいたし、Withコロナと口では言うものの、何も変わらなかった」
「選手や関係者のコロナ対策については多少は具体例を挙げて説明しているが、(東京五輪)開催国の国民に対する具体的な対応策については何も話されていない。これでは国民は納得できるはずもない。何が何でも開催したいというのであれば、まずは国民のコロナ対策の具体例を説明し漏れることなく、実行できるようにするためにどう行動するかが最優先させるべきことだと思う。そうでないと国民が納得するはずもない。国民の納得が得らるない中で開催しても、誰一人心から歓迎しないだろうし、応援は出来ない。更に参加するアスリートを『悪』と捉えかねない状況も作りかねない。もう少し民意を真剣に受け止めて、それに沿えるような政府の行動をお願いしたい」
都内の商店街を歩くと、シャッターに休業や閉店の知らせを書いた紙が貼られた飲食店が目立つようになってきた。悲鳴も上げられない人たちの声に耳を傾けなければいけない。(牧忠則)