新橋駅前では路上飲み禁止を呼びかける見回り隊が目を光らせていた(撮影/鈴木裕也)
新橋駅前では路上飲み禁止を呼びかける見回り隊が目を光らせていた(撮影/鈴木裕也)
この記事の写真をすべて見る

 見回る警備員、公園に規制線…それでも「ここしかない」。ルポ「路上飲み哀歌(エレジー)」をお送りする。

*  *  *

「3人で『マジかよ~』ってユニゾンしちゃいました」と苦笑いするのは、東京・池袋で働く20代の男性3人組。コンビニエンスストアで酒とつまみを買い、駅西口の公園で仕事帰りの一杯を楽しもうと思っていたのに──。

 緊急事態宣言が発出され、飲食店での酒類の提供が禁止された4月25日の夜も、彼らはこの公園で仕事終わりの飲み会をした。しかし、この日(28日夜)は公園内に規制線が張られて侵入できなくなっていたばかりか、見張りの警備員までいたのだ。だが彼らは公園の隅、規制線の外に場所を確保して地べたに座りこみ、慣れた様子で酒を飲み始めた。話題は飲めないことの不満ばかり。

「家に帰っても一人だし。飲んで帰りたくても店はないし」
「花見の時期以来、いつも外飲みしてたけど、誰も感染してないし」
「外は密にもならない!」

 予定は一人ロング缶2本。飲み終わったらまっすぐ帰宅するという。

 周辺には同じような外飲み組が集まり、それぞれが数メートル間隔で場所を取り、静かな酒盛りを始めた。会社員風の男女4人は立ち飲み。

次のページ