コロナ禍の大学入試で、資格の取れる学部が人気だ。従来の学部だけでなく、新興学部も独自性で受験生を引き付けている。AERA 2021年5月17日号は各大学を取材した。
【写真】福祉業界以外にも人材を送り込む 福祉コミュニティ学科のある法政大学
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資格が取れる新興学部も人気を集めている。
新型コロナウイルス感染拡大で海外渡航が制限され、航空需要が激減する中、桜美林大航空・マネジメント学群(20年設置)は前年比188%と志願者数を大幅に伸ばした。大学通信が調査した志願者数上位60大学のうち、学部(学群)別ではトップの数値だ。
■国家公務員もめざせる
ANAホールディングスや日本航空は業績が悪化し、一部の職種を除き、22年度入社の新卒採用を見送った。客室乗務員らを別の企業や自治体に出向させるなど雇用の維持に懸命だ。一方で、パイロットの採用は継続している。専門性の高い資格職や公務員であれば、航空業界でも不況に左右されにくい。同学群では操縦士免許や航空無線通信士などの国家資格も取得でき、国家公務員航空管制官をめざすことができる。こうしたことが志願者数増加の理由になっているとみられる。
桜美林大には08年からパイロットを養成するコースがあった。インバウンド(訪日外国人客)の急増や航空機の小型化による便数増加などの航空需要に備えるため、もともとあったフライト・オペレーションコースに加え、他大学に先駆けて「空港マネジメント」「航空管制」「整備管理」を学べるコースを新たに作った。元日本航空機長の山崎裕和学群長は言う。
「現在、航空業界は苦境に立たされています。過去にもオイルショックや9.11同時多発テロ、リーマン・ショックなどのイベントリスクを経験しましたが、必ず立ち上がってきました。学生たちには現場の第一線で経験を積んだ教授陣から、専門知識やスキルばかりでなく、プロ意識も学び、航空業界を担う人材となってほしいです」
■福祉の目で社会を改革
総人口の3割近くが65歳以上と超高齢社会が進む中、福祉系学部も注目されている。資格取得だけにこだわるのではなく、独自の視点で社会の課題と向き合う新たな学部・学科も人気だ。