仮釈放後、11月までは保護観察期間の堀江貴文・元ライブドア社長。週刊朝日の書き下ろし連載で、週刊誌の新しいカタチについて言及している。

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 収監中は毎日のように読んでいたし、収監前も読んでいた雑誌だが、ここ最近めっきり読まなくなった。雑誌のウェブサイトに掲載された記事を読むことはあるけれど、ソーシャルメディアで紹介され、リンクを踏むという動作で簡単に見られない雑誌の記事を読まなくなった。

 さらに新聞もほとんど読まなくなったし、電車に乗ることもないから、中吊り広告的な雑誌告知メディアにも触れないので、本当に雑誌へのアクセスルートがなくなっている。この連載だって紙では読まずウェブサイトに掲載された時に見るという感じなのである。

 もちろん私自身が最近忙しくて読む暇がないってこともあるだろうし、ソーシャルメディアへのアクセスに時間が取られているということもある。私はそうではないが、スマホのゲームにハマっている人も多いだろう。電車の中なんかは、以前は雑誌メディアの牙城だったはずが、もうスマホをいじっている人ばかりである。

 そんな時代の雑誌の未来を考えてみたいと思う。まず1点目は、文字数が多すぎるってことだ。メルマガでもそうだけど、文字数が多いと読むのが億劫で仕方がない。本を読み慣れている人は文字数が多いことに慣れているけれど、そうではない人のほうが圧倒的に多い。例えば週刊朝日の1ページの文字数はちょっと多いと思うのである。3分の1くらいに削るのが妥当だと思われる。なぜならスマートフォンの一画面+αくらいだとさららと読めるし、要点だって伝えられるはずだ。

 そしてスマートフォンでの配信である。雑誌の配信アプリは数あれど、みんなEPUBだのPDFだの印刷時代の遺物みたいな規格に振り回されすぎだ。印刷物をデジタルで再現することに主眼を置くのは明らかにユーザ無視であり、しかも処理に時間がかかって動作がもっさりしてしまい使わなくなる。正直、私の本のスマホアプリも、出版社との関係などもあって、まさに私が使いにくいといったのと同じ仕様になっている。だから早く改善したい。

 ではどうすればいいのか。答えはビジュアル重視とサクサク動作である。Antennaというアプリがあるのだが、これが暇つぶし系のウェブマガジンといった感じの趣で、動作もサクサクだし、ビジュアルも奇麗だ。文字数も400字くらいにまとまっていれば、各ジャンルの雑誌も成立するのではないだろうか。もちろん各記事にはダイレクトにリンクを張ることが可能な仕様にするのである。

 スマホであれば割と単価の高いモバイル広告を貼りつけることも可能だし、スマホアプリでアプリ内課金をすることで、基本は無料で見せてプレミアムコンテンツだけ有料にするなどのマネタイズ方式を取ることができるようになるだろう。

 スマートフォン時代にも確実に雑誌的なメディアが求められているのは確かだ。今まで既存の雑誌は紙のメタファーに引きずられていたのだと思うし、雑誌の未来は明らかにスマホやタブレットにあるのだ。

週刊朝日 2013年6月21日号