参院選で候補者を立てた4選挙区で全勝を目指す公明党は、神奈川選挙区の佐々木さやか氏(32)に対し、至れり尽くせりの“お姫様”選挙を展開しているという。

「目鼻立ちがくっきりした美人で、弁護士資格も持つ。青森出身で高校の成績はトップレベルでしたが、親が創価学会の信者だったため、東京の創価大学に入学したようです。覚えめでたく、将来の幹部候補とも言われている。神奈川は改選数4ながら自民、民主、維新に加え、みんなの党から前知事が出馬する大激戦区。それゆえ党も『最重点区』に位置づけ、破格の支援体制を敷いているのです」(公明党関係者)

 機関紙である公明新聞からもその一端はうかがえる。3月以降はほぼ毎週、写真入りで佐々木氏の活動を掲載。現職議員と一緒の写真でも中央はほとんどが佐々木氏だ。5月3日には大学教授と少子高齢化について対談する記事が、デカデカと1面で紹介された。先日行われた県本部での講演会には、都議選と自身の選挙を抱える山口那津男代表(60)までもが駆け付けた。

 佐々木氏の生の活動を見てみようと、6月5日、川崎駅前で行われた街頭活動に足を運んだ。「佐々木さやかです。政策リーフレットです」。駅の改札へと向かう会社員らに、一枚一枚丁寧にビラを渡す佐々木氏。滴る汗も気にしない。だが、ふと隣に目をやると、男性市議も横に立って一緒に配っている。“2人体制”での、何とも手厚いビラ配りだ。演説では先輩の女性県議が「32歳、まだ若いと言うかもしれませんが、今の日本をつくるのは青年の熱と力です」と必死に盛り上げる。

 途中で代わった佐々木氏は、弁護士時代の経験や党の政策を紹介し、「より一層の仕事をさせて頂きたい」と訴えたものの、ネタが尽きてしまったのか、演説はわずか10分ほどで終了。再び女性県議が登場し、残り20分間、佐々木氏の思いを“代弁”した。30人ほどの聴衆が聞いていたが、うち数人に取材をすると、「上(学会)から(サクラを)頼まれました……」と話す。

 都議選後、さらに厚い支援体制が組まれる予定だが、果たして“上”の期待に応えられるか。
 
週刊朝日 2013年6月21日号