トラブルは起こるべくして起こったというのだ。
「出鼻をくじかれる結果となりましたが、そもそも各自治体が大規模接種センターを設置し、そこへサポート役として自衛官を派遣する形を取っていれば、余計な混乱は起こらなかったはずです」(同前)
ワクチン予約のシステムで注目を集めることになったマーソ社だが、取材を進めると、実は自民党人脈とつながりがある会社であることがわかった。
マーソ社は15年に、「Sシステム」の子会社として設立された。Sシステムはゴルフ場向けのシステム開発を行っている会社で、マーソ社の現社長・西野恒五郎氏の父が1982年に茨城県で立ち上げた。Sシステム会長だったのは、恒五郎氏の祖父で、地元では大物自民党議員として知られた西野恒郎氏(故人)だ。
恒郎氏は内閣官房長官や自民党幹事長を歴任した梶山静六氏(故人)の盟友でもあった。梶山氏も西野氏も自民党の茨城県議出身で、県議会議長を務めた。西野氏はその後、衆議院議員になった梶山氏の後援会長も務めた。梶山氏は菅首相が「政治の師」と崇める人物で、息子の弘志氏は菅首相に抜擢され、経済産業相を現在、務めている。
それだけではない。マーソ社の西野社長のフェイスブックで「友達」のページを見ると、多くの大物自民党議員がフォローされていた(現在は解除されている)。
さらにマーソ社の役員を見ると、人材派遣大手パソナグループ会長で、菅首相のブレーンとして有名な竹中平蔵氏が16年より経営顧問に就任。また、社外取締役として大物弁護士の熊谷信太郎氏が名を連ねていた。熊谷氏は熊谷綜合法律事務所(東京都)の所長で、吉村洋文大阪府知事の元上司だ。
今回の予約サイトを受注した経緯やトラブルについて、マーソ社の見解を書面で質問したが、下記の回答があった。
「防衛省様にてご説明なさっている状況にあり、弊社からの回答は控えさせて頂きます。なお、ご質問事項には思い込み等に基づくものが散見されることを付言致します」