3度目の緊急事態宣言の解除の目途が立たない中、東京五輪・パラリンピック開催ありきで突っ走る菅政権。
全世界でパンデミックの収束がみえない状況下、訪日する首脳たちをおもてなしするため、外務省は「要人接遇関係経費」として43億6100万円を確保している。開催まで2カ月を切った時点で、訪日が公表されているのは、2024年にパリ五輪を控えるフランスのマクロン大統領くらいだ。アメリカのバイデン大統領は招待されているものの、明確な回答は出していない。国際ジャーナリストの高橋浩祐さんはこう指摘する。
「外務省関係者によると、要人接遇関係費をなくせば予算が大幅に削減できるのに、そうしたことは省内で禁句とされているようです。外務省に関わらず、オリンピックを錦の御旗に掲げて予算をぶんどった所がたくさんあるのです。オリンピックを口実に予算を取って、組織存続のために勢力争いをしているようなものです」
要人接遇関係経費43.6億円には、菅義偉首相主催の「晩さん会」が含まれているとされる。
「関係者からは、赤坂迎賓館に各国の賓客を呼んで歓迎パーティーをする費用が入っていると聞きました。先日も医師会がパーティーをしていたことが問題になったように、世論的には難しいでしょう。そもそも、外からみても日本のワクチン接種率は低い。こうしたホスト国に首脳たちは来ようと思うのでしょうか」(高橋さん)
外交の名目で東京五輪の「晩さん会」が通用したのはコロナ前のことであろう。海外から首脳を招き、「人類がコロナに打ち勝った証し」として杯を交わすなど、世論を逆なでするようなもので、「晩さん会」開催は現実的ではない。半ば宙に浮いた43.6億円を何に使うつもりでいるのだろうか。
AERA dot.では、外務省の要人接遇事務局に43.6億円の使途を問い合わせた。
「大統領、国王、首相といった首脳級の人たちの接遇に必要なものとして予算を計上しています。例えば、外務省から賓客に車両の提供や、空港での接遇など。細かいことを言うと、赤じゅうたんを敷くとか、空港に要人が来た時のVIPルームといったらいいのか、出発前にちょっと待っていただく部屋も確保する必要がありますので、そのあたりでかかってくる経費が主に含まれています」(要人接遇事務局)