紙製品生産2課祝儀品2係主査・望月隼人(もちづき・はやと)/1985年生まれ、山梨県出身。山梨県立産業技術短期大学校電子技術科を卒業し、2006年、マルアイ入社。入社1年後から箔押しの仕事に従事(photo 写真映像部・加藤夏子)
紙製品生産2課祝儀品2係主査・望月隼人(もちづき・はやと)/1985年生まれ、山梨県出身。山梨県立産業技術短期大学校電子技術科を卒業し、2006年、マルアイ入社。入社1年後から箔押しの仕事に従事(photo 写真映像部・加藤夏子)
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 全国各地のそれぞれの職場にいる、優れた技能やノウハウを持つ人が登場する連載「職場の神様」。様々な分野で活躍する人たちの神業と仕事の極意を紹介する。AERA 2023年2月6日号にはマルアイ 紙製品生産2課 祝儀品2係主査の望月隼人さんが登場した。

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 封筒などの表面に装飾された金箔や銀箔。その光沢は、インクだけの印刷では表現できない華やかさや高級感を演出する。箔を紙などの素材に正確に転写するのは、「箔押し職人」と呼ばれる技術者の仕事だ。箔押し加工では、転写したいデザインが凸状に彫られた金属製の版を熱し、箔材と一緒に紙に圧着させる。決められた位置にしっかりと転写するために、温度や圧力を管理し、加減を見極める。

 どんなに細かく管理しても、押すべき位置と微妙にずれることがあるという。厚みや材質が異なる上に、紙には温度や湿度によって伸び縮みする性質があるからだ。

「ずれはコンマ数ミリの世界ですが、ずれているものをお客さまに届けることはできません」。押すべき位置に押されるように、版の形を何度も細かく調整するが、「何年やっても難しいです」。

 箔の付き方にむらがあったり、へこみ具合がいびつだったりすることもある。そのため、できあがった製品を一つ一つ見て、さわって確認する。納得できなければ、惜しげもなくやり直す。

 ここまで丁寧な仕事ぶりは、自身が犯した致命的なミスから学んだ。文字の一部に箔が付いていないポチ袋が出荷され、そのまま店頭に並ぶという大失態を、今でも忘れることはできない。

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