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 夢のようなカードが揃った。作家・中村文則さんの最新刊『カード師』の出版記念イベントが行われ、「占いを信じていない占い師」が主人公の作品を描いた中村さんと、「占い師なのに占いを信じていない」と言われることがあるという鏡リュウジさんとのオンライントークが実現。初顔合わせした二人は、ファンの質問に答えながら、小説に隠されたメッセージや哲学まで、大いに語り合った。その一部を特別に公開する。

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■占いを信じていない占い師の小説

中村:今回ご一緒できることになって、とても嬉しいです。主人公が占いを信じていない占い師なので、鏡さんに怒られないかなと心配していたんですよ。

鏡:いえいえ、とんでもない。むしろ占いを信じない視点で描いてくださるほうが現実味があるというか、僕は、主人公と同じく、たまに”同業者”から「占いを信じていない」ってよく言われるので(笑)。『カード師』の主人公は、「占い師という仮の姿」で生きていて、同じくカードを使うカジノのディーラーの顔も持っている。この設定には深く引き込まれました。一方は偶然性に身をゆだね、もう一方は偶然性を操作しようしようとして、人生を左右するという点でこの二つの仕事は鏡合わせのような関係です。しかし、鏡像関係ということは本質的に通じるところがあるということでしょう?

中村:鏡さんのご著書でも学ばせていただいて、そこからいくつかのインスピレーションも受けたんです。描写などで、さりげなくですが男性性を四角や角、女性性を丸やカーブなどで暗に表現しているのですが、それは鏡さんの『タロットの秘密』を読んだからなんです。

鏡:そうだったんですか。

中村:女性性を意識した丸いタロットカードがあるという記述があり、女性にまつわるシーンを描くときには丸のイメージを意識するようにしたんです。カーブする道の先に女性がいたり、女性のつけているピアスがリング型であったりというような、本当にさりげない描写なのですが、それを多用しています。

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鏡さんの『タロットの秘密』がなければ『カード師』は生まれなかった!?