「コンビニ百里の道をゆく」は、51歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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読者の皆さんは「サザエさん」の波平さん、何歳の設定だと思いますか? 80歳くらいだと思っている人が多いのですが、何と54歳! 放送が始まった昭和44年、終身雇用で「55歳定年」だった頃の54歳って、ああいう感じだったのでしょうね。
いまは健康寿命も延び、波平さんの時代より見た目も内実も元気でもっと働きたいという人も増えました。今年4月から高年齢者雇用安定法が改正され、70歳までの雇用延長が努力義務となりましたが、自然な時代の流れだと思います。
その前段階として、ローソンは今年3月から定年を65歳に延長しました。これは20歳頃からとすると約50年間、働くということ。50年間イキイキと働き続けるためには、自分で学び、成長して、たとえば、デジタル化にも対応していくことが大事。同時に会社側も社員がアップデートできる学びの仕組みを用意することが必要です。
一方で「自分の中のワーク・ライフ・バランス」は、個々の人生のステージで変わって当然です。そこで60歳になった社員に対し、副業を可とし、また自分に合った職務コースを選べたり、定年後のUターンを見据えて勤務地を限定できたりという「アクティブシニア正社員制度」も導入しました。仕事への時間の割き方や、人生のどこに重きを置くか。そこを個々の価値観で「選べるように」しておく。皆がハッピーになり、仕事時間も充実し、会社にとってもプラスしかありません。
また、会社での最終キャリアが見えてくる「53歳」のタイミングで、それまでの仕事と今後について考え直す「キャリアデザイン研修」も今年度から対象者全員に開始します。さまざまな人生のステージで、自分にマッチした働き方を見つけてもらう。そんな取り組みをさらに進めていきます。
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長