突如、原因不明の病に襲われ、寝たきり状態になったおひとりさま女子は、いかに乗り越え、立ち上がったのか――。闘病記「困ってるひと」でベストセラー作家となった大野更紗さん(28)。同じくユーモラスな闘病コミック「なんびょうにっき」を描いたさとうみゆきさん(46)が、とことん“難病人生”について語り合った。
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さとう:私はこれまでイラストレーターとして、さまざまな場所に取材に出かけ、その体験を描く仕事を元気にしてきました。それが一昨年4月のある日突然、肌に違和感を覚え、どんな化粧品も合わなくなりました。そして、誰かをずっと背負っているように体が重くなりました。最初は「年のせいかな」なんて思っていたんですが、3日後には太ももにびっしりとピンク色の皮疹ができていたんです。その後、足が象のように膨らみ歩けなくなり、40度の高熱が出て、パニック状態で病院に行ったら、即入院となってしまったんです。
大野:それが成人スティル病という難病だったんですよね。私の場合は、皮膚筋炎と筋膜炎脂肪織炎症候群という二つの難病を2008年に併発したのですが、はじめは両腕に内出血のような赤い斑点が出てきて、それから全身の力が入らなくなりました。その後、体中が真っ赤な風船みたいにパンパンに腫れて布団から起き上がれなくなってしまったんです。で、病院をたらい回しにされたあげく、地獄のような検査と長期入院。だから、さとうさんの漫画を読んだとき、思わず「あるある」とうなずきながら読んじゃいました。
さとう:でも、この話は私や大野さんだけでなく、成人だったらある程度の確率で誰にでも起こりうる話だと思うんです。
大野:さとうさんの成人スティル病は10万人に1人の難病と言われていますが、日本の人口が1億人だとしたら、その中に千人はいるわけだから、決して少ない数字じゃない。しかも、成人スティル病以外にも、難病と呼ばれる病気は数千疾患あると言われています。
さとう:にもかかわらず、国から医療費の一部が助成される疾患は現在、56疾患しか認められていないんですよね。私の成人スティル病は、東京都と北海道の一部では医療費助成の対象として認められていますが、国からは認められていないのです。
大野:他にも、原因不明で治療法が確立されていない病気は山ほどある。そう考えると、難病になる確率って、決して低くはないんですよね。
※週刊朝日 2013年6月28日号