東京五輪の開催中止を求める声が高まる中、なぜ菅義偉首相は踏み切らないのか。ジャーナリストの田原総一朗氏は、その理由を推察する。
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東京五輪・パラリンピックはそれぞれ7月23日、8月24日から開催されることになっていて、開催まで2カ月を切っている。
東京新聞などが合同で、5月22、23日の両日に都内の有権者に意識調査をしたところ、60.2%が東京オリパラの開催について「中止」を選択した。
大会開催について、菅義偉首相は「国民の命や健康を守り、安全・安心の大会を実現することは可能」と強調しているが、これに納得できるかと問うたところ、67.2%が「納得できない」と答え、「納得できる」は13.2%だった。
また、政府の新型コロナ対策については、「全く評価しない」と「あまり評価しない」を合わせると8割近くになり、「大いに評価」と「ある程度評価」は合わせて約2割という結果だった。そして、菅内閣を「支持する」と答えたのは16.1%で、「支持しない」が64.4%であった。
ところが、東京都のコロナ対策では評価が分かれた。飲食店への営業時間の短縮要請、大規模商業施設への休業要請などについて、「評価する」は「大いに」と「ある程度」を合わせると46.3%で、「評価しない」は「全く」と「あまり」の合計で49.7%。政府の新型コロナ対策への評価が低いのに比べてほぼ半々と、一定の理解を得た格好だ。
問題は東京五輪である。都民の多くが中止を求めているのに、IOCのジョン・コーツ調整委員長は21日に共同会見で、「今春の宣言下で五つのテスト大会が成功裏に行われた。たとえ緊急事態宣言下でも開催はイエスだ」と答えた。さらにIOCのバッハ会長も「われわれは東京五輪の開催は、犠牲を払ってでも実現する」と表明した。いずれにも国民の多くは強い不快感を覚えている。
そして、日本の新型コロナ感染者数の増加に危機感を募らせて、米国政府は日本への渡航を中止するように求めている。