タブレットとスタンドを使わない自治体は多く存在するという。今回のタブレットとスタンドは、NTTドコモが約37億円で随意契約したものだ。IT総合戦略室の担当者はこう語る。
「基本的には『うまくいった』という声は我々のところには届かない。なので、無言で使ってもらっていたら『うまくいっているんだな』と思っている」
一方、菅義偉首相の肝いりで東京と大阪に開設されたワクチンの大規模接種センターの予約も「想定外のポンコツ」(防衛省関係者)という声が相次いでいる。
防衛省では当初、5月31日から6月6日の接種については東京都の65歳以上の住民のみを対象にしていたが、同月27日時点で予約枠に約1万8千回分の空きが発生。そのため、予定を前倒しして、埼玉県、千葉県、神奈川県の65歳以上も5月31日からの接種対象にした。
しかし、その後も大量の予約キャンセルも発生し、問題になっている。編集部が入手した防衛省の資料によると、東京センターの30日(土)の予約枠は9千人、それに対して、当日予約数は8318人、実際に接種したのは7784人だった。30日(日)は予約数8166人だったが、接種数は7436人だった。予約枠の15%弱が無駄になっている状況だ。
1都3県に対象が広がった5月31日以降も、同じような状況が続く。6月2から13日の予約枠12万6千人に対し、1日夕方現在で約1万人以上の空きがあるという。
他方で31日から一週間の市区町村別の予約状況を見ると、横浜市が7160件と、2位の川崎市1221件に大差をつけている。菅首相のお膝元、横浜市が最も恩恵を受けている形だ。防衛省関係者はこう語る。
「当日ドタキャンが相当数ある。ただ、連絡先の登録が一切ないので理由すら分からないものが大半です。深刻なのは『架空予約』と思われる予約が一定数存在していること。予約システムは改修しましたが、どれが架空かを見分ける術がなく、お粗末なシステムになっている。他方で予約がなかなか埋まらず、一番恩恵を受けているのは菅首相の地元の横浜。『こんなところにも首相への忖度か?』など冗談交じりに語られています」