御殿場市(静岡県)では、スタンドが届いたが、タブレットは使わない予定だという。市に予防接種で使っている情報管理のシステムがあり、これを代用している。市のシステムに情報を入力し、その情報を政府のVRSに移す予定だという。市の担当者はこういう。

「市のシステムはバーコードで処理をしているので、手際よく情報の登録ができる。イメージ的にはスーパーのレジで処理するスピードと一緒ですね」

 三鷹市(東京都)でも、同様に予防接種で使っているシステムを使用しており、政府のVRSにデータを移すためのシステムを作っているところだ。スタンドはまだ届いていないが、タブレットは現在、使用しておらず、「検討中」という。

 スタンドには新たな欠陥も指摘されている。接種券とタブレットの距離は7センチが推奨されている。この距離だと読み取りやすいという。しかし、福井県のある自治体の担当者によると、今回政府から送られてきたスタンドを使うと、9~10センチ程度も離れてしまうという。

「私が手作りした台のほうがいいですね。ただ、それでも読み込みエラーは多いので、本当に使いづらいです。国が送りつけてきた物なので各医療機関には配りますが、私は使わずに片付けてしまいますね」(担当者)

 担当者は政府のシステムVRSへの入力作業を行っている。6月2日の入力件数は150人程度。入力に1時間ほどかかったが、多忙なワクチン業務中には負担が大きい。来週からは接種人数は倍になる予定で、接種を担う自治体や医療機関への負担はますます増えていくという。

「各市町村への負担軽減を国は考えて動くべき。今の状況では、自治体や医療機関の入力作業が後回しになり、国が思っているようなリアルタイムでの接種管理などできないですよ。今からでもミスの多発する数字からの読み込みは改修してほしい。バーコードからの読み込みに改修するだけで少なくとも時間は半分に短縮されると思います」(同前)

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大規模接種センターでは「菅首相への忖度」と笑えない冗談