西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、コーチの重要性について語る。
【写真】中日の荒木・内野守備走塁コーチの指導を受ける根尾選手
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中日が5月26日に門倉健2軍投手コーチから一身上の都合により退団の申し入れがあり、受理したと発表した。
心配ではあるが、個人的なことに踏み込むことになるので、無用な詮索(せんさく)は避けたい。ただ、球団からしたら、どんな理由であれ、無断で練習を欠席していたことは見過ごせないものであろう。
野球は常に進化している。投球や打撃への考え方も日進月歩だ。監督、コーチは常に新しい技術を研究すべきである。アマチュア球界のトレーニング方法は今、プロ野球並みに進化しており、旧態依然とした指導理論では、特に若い選手は納得しないであろう。
ただでさえ、近年は、レギュラーだけの「9人野球」という言葉は死語となった。年間を通じれば50~60人の選手が1軍の試合で起用される。個々の調子や、1軍のナイターでの状況を見ながら、選手を把握する必要がある。手を抜いたら、すぐにわかってしまうのが、今のコーチである。
さらに新型コロナウイルスの感染者がいつ出てもおかしくない状況である。瞬時に大量入れ替えを行う必要も出てくる。門倉コーチの退団で、中日は代わりのコーチを補充しないというが、その穴は相当大きなものになるだろう。
シーズン中のコーチの入れ替えという部分にも言及してみたい。巨人が交流戦を前にして、バッテリーコーチを配置転換した。相川亮二が1軍から3軍へ異動し、実松一成が2軍から1軍へ、加藤健が3軍から2軍へと配置転換された。よく、この手の情報が流れると「懲罰人事」と言われてしまう。
確かに、順風に回っているときには、こんなことは起きないだろう。ただ、今の時代、1軍だろうと3軍だろうと、コーチの大変さは変わらない。シーズンを戦う上で、組織上の強化ポイントが、コーチ人事を行ったときとは異なることも出てくる。変化に敏感になってすぐに手を打つことは、組織を運営する上で大切なことだと考える。