内村光良(撮影/写真部・掛祥葉子)
内村光良(撮影/写真部・掛祥葉子)
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 内村光良は機嫌の良しあしを仕事場に持ち込まないという。機嫌が悪い日をつくらない、はリーダーたるもの、まねしたいものだ。

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 理想の上司ランキング、男性部門で5連覇達成のウッチャンこと内村光良の“上司力”に迫った書籍『チームが自ずと動き出す 内村光良リーダー論』(朝日新聞出版)。関係者への取材を重ねた著者の畑中翔太が、リーダー内村を分析する本連載。

 第9回目のテーマは「機嫌」。

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 内村を取材する中で多くの関係者が語ることであるが、彼は日々の中で、「機嫌が悪い」というタイミングがない。逆に言うと「今日はやけに機嫌がいい」というのもあまりないのであるが、どんな日の、どんな現場であっても、常に“いつもの内村”でいる。
 
 内村の小説『ふたたび蝉の声』を担当した小学館・星野博規氏は、編集者として内村の小説執筆に向き合い、最初の顔合わせから脱稿まで トータルで何回打ち合わせしたかわからないというが、「明らかに今日は機嫌が悪いとか、話しかけづらいといった、そういった機嫌の変化 みたいなものが一度もなかった。これは他の作家さんではあまり経験がないこと」と語る。
 
 この星野氏のエピソードに限らず、毎日の現場における内村の「感情のフラットさ」を語る関係者は多くいた。本人はおそらく無意識なのだろうが、この姿勢はチームのモチベーションにも大きく影響する要素。

「機嫌」を現場に持ち込まない、それはつまり、部下たちが職場においては「仕事だけに集中すればいい」環境を産み出すことにつながる。
 
 内村の監督映画『金メダル男』で制作をともにした編集・栗谷川純氏も、仕事をしている最中はまったく仕事以外のことを考えなくてよかったと振り返る。

「誰しもが普段生活で嫌なことがあったり、人間関係のことだったりとか、いろんなことがある中で仕事をしなければいけないじゃないですか。でも内村さんと仕事をしていると、本人がいつもフラットだから、私自身もそんなこと仕事場に持ち込まなくて済むというか。もう仕事のことだけを考えていればいいんですよ、他がまったく入る隙間がなくて、だから、楽しくて仕方ないですよ」

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リーダーが現場に「機嫌」を持ち込まない